毎年大勢の生徒を発表会に出演させます。
弾き終えたあとの達成感に満ちた表情を見ると
本当に素晴らしい経験をしたことが伝わってきます。
オンリーワンの習い事
私は個人レッスン専門なので、出演する生徒も一人きりでの舞台です。
私は5歳児から出演させますが、子供は凄いですよ、
大人よりずっと度胸があります。
幼稚園~小学校低学年だと緊張をまだ知らないので
けろっと舞台に上がっていったり、
たとえいつもと違う状況に身体がこわばっていても
泣き言を言わず舞台に上がり堂々とした演奏を披露してくれます。
そして、各々感想を言葉にして伝えてくれます。
上手に弾けた、ここを間違えちゃった、また出たい!
子供なりに感じること、学ぶことがあるのですね。
ピアノの発表会は一人きりです。
何ヵ月もかけて自分と向き合い曲を仕上げ、
お客さんの前で披露する。
そのときその空間には自分の音しか存在しないという
とてつもない緊張感の中、
やり直しの効かない一発勝負の本番に挑むのです。
この準備~本番の一連の経験はそうそう出来るものではありません。
どうぞピアノを習っているからにはかけがえのない人生経験のひとつとして
挑戦してみてくださいね。
成功に導く
準備段階から緊張する子もいれば、
緊張というものを知らない子もいます。
しかし発表会を成功に導くためには生半可な練習ではいけません。
そして自分を信じる心が大切です。
そのために保護者の皆さんは十分に子供を支えてあげてください。
本番までの支え方
発言は前向きに
よく、おしりを叩く発言をしたいお母さんが
「そんなんじゃ失敗するよ」
「失敗しないように沢山練習しないと」
などと声をかけていることがありますが、
そうすると子供は練習をするようになるどころか
失敗を恐れ本番が怖くなり、
出たくない…ということになります。
脅すような言葉は不要です。
楽しみという感情を軸に
「練習の成果をお客さんに聴かせてあげよう!」
「本番の舞台が楽しみだね!」
上手に弾けるように、というのも大事ですが、
声かけを誤るとプレッシャーにもなってしまいます。
曲が仕上がっていく過程、本番の舞台を楽しみと思う感情を
何より大切にしてください。
すると自然に練習し、上手くなっていきます。
緊張を楽しむ
お母さんが、子供よりも緊張して
「緊張するね~!」
と言うこともよくありますが、
そういった発言により、子供は不必要に緊張を知っていくのです。
本番、夢中になって弾いた。
その周りも見えなくなるくらいの集中が緊張なのでしょうが、
本番でそれを経験すれば十分です。
本番前に、緊張ってどんな感覚なのだろう、
怖いことなのかな、
と不必要に気にさせてしまうことになります。
それよりも、本人と一緒に楽しみにした方がいいでしょう。
本番までにすること
子供は期日までに仕上げることが苦手です。
本番当日が近付いてくる実感を持ってもらえるように動きましょう。
1か月前~
練習の度録音し、客観的に演奏を聴いて仕上げにかかりましょう。
身体の使い方が苦手な子は録画してフォームの見直しを。
衣装を準備して、不備がないか確認しておいてください。
衣装選びも気持ちを本番に向ける大切な要素ですから、
楽しんでくださいね。
半月前~
お辞儀含めた一連を録画しましょう。
上品に振る舞えているでしょうか。
聴いていただくお客さんにご挨拶するのも演奏のうちです。
一日に何回でもお辞儀からの練習をして、ルーティンを染み込ませましょう。
演奏は、いつもと違う状況に緊張で上手くいかない箇所が見つかると思います。
丁寧に修正していきましょう。
1週間前
いよいよ本番だという実感を持たせるため、
衣装を身に付け、ペダルを使う場合は靴も履き、
本番の舞台と同じ流れを録画しましょう。
当日
特別なことをせず、
ここ一ヶ月の練習の流れそのままこなして会場に向かってくださいね。
いつもと同じ、が緊張を和らげます。
本人以外は、緊張するね~!などと
盛り上がりすぎないように気を付けてくださいね。
おわりに
発表会の経験は人を強くします。
本気で準備してみてください。
その後の人生を支えてくれるでしょう。
本人が持つ力を最大限発揮するためには親御さんの支えが不可欠。
日々の練習から真剣に向き合ってください。
親子の絆も深まり、かけがえのない思い出となりますよ。