ピアノと睡眠~神経の絡まり~

ピアノ

これまで大勢の子供たちにピアノを教えて参りました。

その中でとある気付きがあり、子供たちの健康を憂いています。

先にその気付きを申し上げますと

 

睡眠時間の長さとピアノの上達は比例する 

  

睡眠時間と上達

 

脳の働きが年齢にあっていてピアノが順調に上達する子供は、

もれなく十分な睡眠を取っていました。

小学校高学年で21時、中学生で遅くとも22時就寝の生徒は本当に頭も指もよく回っていました。

また、脳の成長が十分でない子供は睡眠が全てではないのですが、

睡眠時間が短い子供は以下の症状が見られます。

年齢によって20時、22時就寝に発達の境界がある気がします。

 

具体的な症状

  

普段の生活には支障がないけども、脳の発達が十分でないと思われる生徒には

以下の症状が見られます。   

 

・いつまでもおへそのドが読めない

一番最初に習うドや、両手演奏で一番始めに覚えるひくいドでさえ、

いつまで経ってもなんだっけ??と言って覚えられない。

 

・鍵盤と指の位置関係が分からない

5本の指と対応する鍵盤しか押さえられず、

ド→ラなど、少しでも開くともうドの位置を見失う。

 

・指を操れない

1指→2指でド→ミを弾きたいはずがド→レになっても、

なぜそうなってしまうのか分からず鍵盤に指を持っていけない。 

 

・ポジションの違う曲が理解できない

ドレミファソに両手を置いてハ長調の曲は弾けるようになっても、

ソラシドレに手を置くト長調の曲になると、

たとえば4指で弾きたいはずのドが出てきたときに1指が動き

何が間違っているのか分からず修正出来ない。 

 

睡眠以外の原因も

 

睡眠不足はもれなく上記のような症状が見られます。

しかしこれに当てはまっても、睡眠には問題のない子供も大勢いるでしょう。

私は、食や現代医療も疑っています。

そのお話はまた別の機会にするとして、

頭を良くしたかったら何はともあれ睡眠だと考えています。

 

書籍紹介 子どもの夜ふかし 脳への脅威

 

普段のレッスンでの観察、聞き取りから私は結論にたどり着き

親御さんに指導してきましたが、改めてこの記事を書くにあたって

睡眠と脳の発達についての本に出会えたのでご紹介します。

 

小児、小児神経科専門医である三池輝久先生のご著書

子どもの夜ふかし 脳への脅威

 

子どもの夜ふかし 脳への脅威

 

・人はなぜ多くの時間を割いて眠るのか

脳を創り、その働きを育て、守る(維持する)ため

 

・ 記憶を司る海馬

睡眠時間の現象によって神経細胞の新生分化が抑制されるので

睡眠時間の長い子供は海馬が大きく、

そうでない子供はの海馬は小さい! 

(成人後も細胞分裂を繰り返す部分なので今日から改善を!)

 

・19時から7時までにとるべき必要な夜間の睡眠時間

小学校低学年 9~10時間

小学校高学年 8~9時間

中学生以上 7時間半以上

 

・シナプスと情報伝達物質

情報の伝達や処理を行っている神経を構成しているのが神経細胞。

多くの神経細胞が集まり、大きなまとまりになっているのが、脳や脊髄。

神経細胞同士を繋いでいるシナプスを介して情報伝達物質が行き来する。

昼の活動中に使用したそれをシナプス小胞に戻して休ませ、

翌日も元気に働けるようにする

 

・なぜ赤ちゃんはよく眠るのか

レム睡眠が神経回路網を作り、脳の発育に貢献する。 

情報処理能力を高めたり、シナプスや情報伝達物質の点検修理を行うために長く眠る。 

 

・睡眠欠乏で脳内情報が混線

情報が行き場を失って立ち往生したり、間違ったところに届けられるたりする。 

情報を受け取れる領域とそうでない領域が出来ると情報処理能力のばらつきができる。

そのバランスの悪さが発達障害の症状の背景。 

 

・睡眠治療 

発達障害の症状の緩和も可能。

睡眠、覚醒リズムを把握し、家族全員で生活リズムの改善。 

睡眠は長い人生の基礎を作る大切な習慣。

早期に改善を行うこと。  

 

親がしてあげられること

 

小さい頃から健やかな眠りを。

睡眠改善は子供たちが元気で充実した家庭・学校・社会生活を送るために一番効果的で副作用のない方法。

 

・夕方以降の照明を少しずつ暗く

・保護者も一緒に寝る

・寝る前の熱いお風呂、食事は避ける

・毎日、朝日をしっかり浴びる

 

まとめ

 

とても興味深い内容の本に出会えたので、

私の経験とともに紹介させていただきました。

そして私の感じていたことを確かなものにしてくれました。

今まで私は感覚で

”神経がモジャモジャになっているように見える”のでよく寝かせてください。

と指導していましたが

まさにその通りのことが脳で起こっていたなんて…

お勉強だけでなくピアノなど、人生を豊かにすることも満足に出来なくなってしまいます。

子供の脳を守るために睡眠を侮ってはいけませんね。 

 

私が日々のレッスンで感じて改善を促しても、

実際の生活を伴うことですから理解が必要です。

本書では家族でできる睡眠改善の方法も詳しく紹介されています。

どうしてもお仕事が忙しく一緒に出来ないことも沢山あるでしょうか、

まずはこれから取り入れてみようと思える方法もありますよね。

どうぞ思い当たる方は見直してみてください。

 

睡眠の改善と併せて

 

睡眠は十分なのに理解力が足りなく上達しない、

という人は食に改善の余地があります。

こちらの記事をご覧ください。

 

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